西洋の人々が「地球の主人公は人間」と考えるのに対し、東洋の人々は「人間も自然のひとつ。
世の中には、人間の力ではどうにもならない大きな力が自然を支配している」と考えます。
そのせいか、東南アジアや日本では、おまじないがごく自然な姿で日常生活にとり入れられています。
台湾や香港では結婚などの冠婚葬祭を行うとき、占術家に分厚い暦で吉凶を調べてもらい、それに従って日取りを決めます。
日本にも、昔から伝わる暦があります。
昔ながらのカレンダーを見ると、「丑(うし)」「寅(とら)」などの干支や「一白水星」「六白金星」などの九星などが記されていますね。
文字を見てもさっぱり意味がわからない人も多いかもしれませんが、実はそこには、私たちの祖先が残してくれた開運の知恵がたっぷり詰まっているのです。
今でも一般的に利用されているのは、六輝と呼ばれる先勝(せんしょう)、友引(ともびき)、先負(せんぷ)、仏滅(ぶつめつ)、大安(たいあん)、赤口(しゃっこう)や前述の九星、それに、立春、春分、立夏などの二十四節気です。
もともとは足利時代に中国から伝わり、一般に使われるようになったのは江戸時代の末期からですが、今では私たちの暮らしに深く浸透しています。
たとえば結婚式に「仏滅」の日を選ぶ人はほとんどいませんし、「友引」の日にお葬式を出す家もまずありません。
友引の日を休日にしている火葬場も多いのです。
ここで、結婚式など日本人の冠婚葬祭に縁の深い六輝の意味を簡単に説明しておきましょう。
先勝
「先手必勝」の日。午前が吉、午後が凶。願い事や訴訟、勝負事などに吉の日。
友引
午前中と夕方は吉、昼は凶。「友を引く」ので葬式は避ける日。勝負事は「進まず引かず」で勝負がつかないとされます。
先負
「あせると負け」の日。あまり出しゃばらず、おとなしくして吉。オフィシャルな用事(取引や物を買うときの契約、法律上の相談事など)や急用は避けたほうがいいでしょう。午前中は凶、午後から吉。
仏滅
一日じゅう凶。この日に新しいことを始めると「物を失う」、また「病気をすると長引く」ともいわれます。
大安
「大いに安んず」で、万事にさしさわりなく、何をやってもうまくいく日。
赤口
正午のみ吉。その他の時間帯は何かと障害や横やりが多くなる日です。
「赤」から「血」を連想させるため、大がかりな建築関係の仕事は休みになることもあります。
六輝を「ナンセンス」「迷信」と考える人も少なくありませんが、冠婚葬祭など人生の大きなイベントの日取りを決める際はもちろん、商売や営業も、大安や仏滅などを抜きにして考えることはできません。
「科学的根拠がない」「迷信にすぎない」と笑う人もなかにはいますが、車の営業マンが大安でない日に新車を納入しようとして客から拒否されたり、呉服屋さんが仕立てあがった留めそでを仏滅の日に届けて、「いったい何の日だと思っているんだ!」とどなられたという話も実際にあります。
経営者、商店主などは、縁起をかついで六輝を気にする傾向があるため、商取引の世界では、事前に日の吉凶をチェックする人が少なくありません。
曜日のバイオリズム
もうひとつ、「曜日によるバイオリズム」についても紹介しておきましょう。
人は曜日によって感情や行動が大きく左右されます。
これをじょうずに活用すれば、恋や仕事で成功する確率が高くなります。
休み明けの月曜日は、人の生活リズムが大きく変化する日です。
実は、世間を驚かせる事件や事故が多発するのが月曜日なのです。
たとえば、ブラックマンデーと呼ばれる1987年10月19日の株の大暴落がそうでした。
最近の株や円相場を見ても、大きな変動を見せるのはたいてい月曜日です。
売り買いの判断には人間の心理がそのまま投影されるため、金曜、土曜にショッキングな事件がつづいた場合、休日明けの月曜日には、心の不安がそのまま株価に反映されてしまうのです。
一般的に、月曜日は「月」に支配される日と考え、人が物思いにふけったり、空想力が豊かになる日といわれます。
しかしその半面、不安になったり、考えすぎて失敗することもあります。
また、いつもならあまり考えないようなことを考えて、深刻になりやすい日でもあります。
ちなみにヨーロッパでは、「月曜日にくしゃみをすると、恋のトラブルに要注意」といわれます。
火曜日は情熱的になり、対人関係や仕事で積極的に行動するようになります。
その半面、感情のコントロールがきかなくなることもあります。
火曜日のケンカには要注意です。
水曜日は「水星」に支配される日で、頭がさえ、いいアイデアがたくさん浮かぶようになります。
週の半ばでスタミナも十分あるので、一気に企画や仕事を押し進めるにはベストな日です。
木曜日は商売運、金運にいい日といわれます。
お金もうけや収入アップを考えているなら、木曜日にスタートさせると、いい結果をうむでしょう。
金曜日は金星、つまり美の女神・ヴィーナスのパワーを受けますから、恋愛にパワーを注いで吉。
恋人のいない人は恋のチャンスに恵まれやすいので、積極的に外に出て、習い事や趣味のサークルなどに顔を出しましょう。
土曜日はネガティブなパワーを持つ土星の影響を受けるので、うっかりミスやアクシデントに要注意。
特に車の運転には気をつけましょう。
ヨーロッパでは、「土曜日にくしゃみをすると、意外な人と翌日キスをする」といわれます。
日曜日は太陽の影響を受ける日。
心がおおらかになり、対人関係にいい影響が出て、人脈が広がる日です。
ただし、おおらかになりすぎて時間をムダに使い、「一日何もしなくて終わった」になることもあります。