自己暗示力効果
「ほんとうに私にもおまじないが効くかしら?」と疑問に思ったり、不安に思う人もいるでしょう。
ではここで、だれにでも簡単にできるおまじない効果を実験してみましょう。
まず両手を組み、2本の人さし指をピンとまっすぐ伸ばして、いったん指をぴったりくっつけます。
次に手を組んだまま、指の間を1cmほどあけます。
そして指と指の間をじっと見つめてください。
2本の人さし指は自然に閉じていき、最後にはくっついてしまうはずです。
ではもう一度、同じことを試してみましょう。
ただし今度は、指と指の間を見ているとき、「くっつかない、くっつかない」とつぶやきつづけるのです。
どうですか?つぶやいている間は絶対に指がくっつかないはずです。
しかしつぶやくのをやまたとたん、指は再びぴったり閉じてしまうでしょう。
これが、「おまじない効果」です。
心理学では「自己暗示」といいますが、「くっつかない」という言葉を唱えることによって、思いがけないパワーが発揮されるのです。
ではさらにもうひとつ、実験してみましょう。
友人とふたりで向き合って立ち、相手に左手を水平に伸ばしてもらいます。
あなたは相手の右肩に左手をおき、自分の右手で相手が伸ばした左腕を押し下げようとしてみてください。
このとき相手の人は左腕に力を入れ、腕が押し下げられないようにします。
あなたが強く押しても、相手もがんばって力を入れているので、腕はなかなか下がりませんね。
では、今度は相手の顔に紙袋をかぶせて同じことをしてみましょう(注・ビニール袋は窒息するおそれがあるので用いないでください)。
今度はあっけなく、腕を押し下げられたはずです。
つまり紙袋がストレスとなって、相手は本来の力を発揮できなくなってしまったのです。
では最後に、相手に紙袋をかぶってもらったまま、右手を胸に当て、「アブラカダブラ」とおまじないの呪文を唱えてもらいましょう。
呪文を唱えている間は、どんなにがんばって腕を押しても、なかなか下がらないはずです。
不思議でしょう?
たとえストレスのかかった状態のもとでも、人はおまじないを唱えることで、ストレスに打ち勝つことができるのです。
このことからわかるように、「おまじないは人間の奥底にひそむ大きな力を引き出すカギになる」といわれています。
このような「自己暗示の力」を科学的に解明した最初の学者は、フランスのエミール・クーエという人でした。
しかしそれが社会的に認められたのは、彼が亡くなった1927年以降のことです。
そして彼の提唱した「自己暗示法」が世間から注目を集めたのは、70年代に入ってからのことでした。
白魔術と黒魔術
おまじないが効く理由は、実は「自己暗示」だけがすべてではありません。
洋の東西を問わず、昔から行われてきたおまじないのベースには、奥の深い「宗教的な教え」があります。
たとえば日本に伝わってきたおまじないの多くは、中国の道教やインドの仏教、密教などがもとになっています。
神社のお守りや絵馬、数珠、お札、お清めの塩などはみな宗教的な背景がベースになっていますし、ひな祭りや端午の節句、七五三などの季節ごとの行事も、本来は宗教的な考え方から派生し、それがアレンジされているのです。
宗教の教えは「おまじない」に形を変え、私たちの生活の身近なところでなじんでいるといってもいいでしょう。
そもそも宗教というのは、人が正しく生きて幸せになるためにあります。
おまじないも同じ。
毎日を楽しく暮らし、幸せになるために、おまじないは世界じゅうで活用されているのです。
しかし長い歴史をひもといてみると、なかには人をのろったり、権力を得ようとするために宗教を利用した人もいます。
これを「邪教」といいますが、昔はここから、よくないおまじないが派生したこともありました。
これを、ヨーロッパではマイナスのパワーを持つ「ブラックマジック」(黒魔術)と呼びます。
逆に、自分や周囲の幸せを願う、プラスのパワーを持つおまじないを「ホワイトマジック」(白魔術)と呼びます。
日本でも、奈良の平城京跡地から、1987年に奇妙な図形と文字が発見されました。
これは8世紀ものもで、綿密な調査の結果、人をのろう呪文がったことがわかりました。
欧米だけでなく、日本でも、ブラックマジックは存在していたのです。
しかしブラックマジックを使うと、たとえ一時的に効いたように思えても、必ずよくない結果を生みます。
「人をのろえば倍返し」という言葉があるように、のろいのエネルギーはより大きくなって、必ず自分にはね返ってくるのです。
おまじないの基本は、あくまでも愛と夢をかなえるホワイトマジックです。
世界のタリズマン
もうひとつ、「タリズマン」と呼ばれるお守りもあります。
これは霊力を持つ文字や図形がデザインされたもののことで、たとえば三角形が2つ組み合わさった「ファトマ」や「アブラカダブラの三角形」などがあります。
世界にはさまざまなタリズマンがありますが、どれもみな、「幸福になりたい」という人々の自
然な願いから考え出されたものです。
ではここで、代表的なタリズマンを紹介しましょう。
四つ葉のクローバー
ヨーロッパでは「四つ葉のクローバーは幸せを呼ぶ」よいわれます。
特に、これからステキな恋に出会いたい人、片思いの恋を実らせたい人によく効きます。
外を歩いていてクローバーが咲いているのを見かけたら、ぜひ四つ葉のクローバーを探してみましょう。
近いうちに、必ずいいことが起こるはずです。
もし咲いていない場合は、クローバーの絵を自分でかくだけでも効果があります。
それを家や部屋の出入り口に飾ったり、持ち歩いてみましょう。
好きな人から電話やメールが入ってくるなど、ラッキーなでき事が次々に訪れるようになるでしょう。
ちなみに四つ葉のクローバーの1枚目の葉は名誉、2枚目は富、3枚目は愛、4枚目は健康をもたらすといわれています。
「女性がこのお守りを玄関ドアに飾ったとき、その日に家にやってきた男性が恋人になる」というジンクスもあります。
ファトマ
三角形を2つ組み合わせたファトマは、イスラム教のお守りとして知られます。
現在ではアラブの人たちに限らず、「願いをかなえる図形」として、世界じゅうの人々に用いられています。
困ったときにこのマークを手のひらに指でなぞると急場がしのげ、返事がほしい手紙のすみに小さくかくと、自分の思いが相手に伝わります。
自分を守護してくれるマークとして、厚紙などにかいて持ち歩くといいでしょう。
スカラベ
スカラベとは、こがね虫の一種です。
スカラベは古代エジプトでは「復活と再生」のパワーを持つ太陽神の使いとされ、ミイラを包む包帯に、スカラベの石彫りがくくりつけられることもありました。
「生命力の象徴」ともいわれるスカラベは、妊婦や病人にとってのお守りにもなりました。
現在でもエジプトやヨーロッパの宝石店などでは、石や宝石細工のスカラベが売られています。
アブラカダブラ
欧米に古くから伝わる有名な呪文で、「父」「見る」「精霊」をあらわす言葉とされています。
もともとはヨーロッパで恐れられた伝染病のペストにかからないための呪文でしたが、現在では痛み止めや体力回復、また不運を避けて幸運を呼ぶ呪文として、広く愛用されています。
アイタリズマン
大きな目が印象的なアイタリズマンは、太陽と月を象徴したものです。
古代の人々は、「太陽と月は人の運を強くする」と考え、このように特別な図案を考え出しました。
これを紙にかいて持っていると、運がどんどん上昇するといわれます。
動物の角やきば
「さいや鹿など動物の角やきばには、魔よけのパワーがある」といいます。
鋭くとがった角やきばは、悪いものを引き裂いて一網打尽にするイメージがありますね。
本物はなかなか手に入りにくいのですが、動物のきばと同じ形をしたプラスチック製のお守りをよく見かけます。
手
「指を伸ばした手」は、真実の愛を呼ぶといわれます。
恋人がほしいとき、恋人とさらに親密な関係になりたいときは、両手の指絵を伸ばす運動をしたり、手の形のキーホルダーやマスコットを持つといいでしょう。
おの
ヨーロッパでは古くから、銀のおのは魔よけのパワーを持つといわれます。
気分のよくない夢を見たり、不快なでき事がつづくときは、おのをドアの近くに立てておくと、「魔を断ち切る」「魔を寄せつけない」などといわれています。
おのがない場合は、大きなおのの絵をかいて飾っても効果があります。
釣り針
L形の釣針は、ヨーロッパでは書く能力や話す能力を高めるといわれます。
試験や就職お面接のときなどに持っていくと、自分の長所をじょうずにアピールできるようになります。
立春大吉
この文字を紙に書き、立春(2月4日ごろ)に門や柱に飾っておくと、その一年は災難にあわないとされています。
文字がうべて左右対称なので、裏から見ても同じように見える、不思議なタリズマンです。
自分でつくるときは、筆か筆ペンを使い、早朝に気持ちを込めて書くといいでしょう。
魚
水槽の中で優雅に泳ぐ魚は、中国では「富を呼び寄せる」といわれています。
実際に中国では、玄関先に金魚鉢をおいたり、魚のモチーフのアクセサリーを身につけて金運を上げる人も少なくありません。
ここで紹介したような、世間一般によく知られるお守りや神社仏閣で手に入るお守りだけでなく、「その人だけに通用するお守り」というのもあります。
何かうれしいことがあったとき、またはラッキーなことが起こったときに使っていた小物や身につけていたものなどがそうです。
たとえば「赤いペンケースを持って受験したら合格した」などという場合、次の試験にもその赤いペンケースを持って臨めば、それがジンクスとなって、よい結果をもたらしてくれるのです。
また親の形見の品、尊敬する先輩からもらった品を「縁起のいいお守り」としてたいせつに扱い、いざというときにその力を借りる人も、意外に多いものです。
これらはみな「プライベートなお守り」として、いざというときに力を発揮してくれるでしょう。
一般に自分が信じているもの、たいせつにしているもの、大好きなものには、おまじないの魔力が宿るといわれます。
それに加えて「希少価値のあるもの」なら、その威力はさらにパワーを増します。
たとえば「四つ葉のクローバーを手に入れると幸せになる」と昔からいわれるのは、四つ葉のクローバーが希少価値だからです。
「自分は、めったに手に入らないすごいお守りを持っている」と思うことで自信が深まり、おまじないパワーが何倍にも増幅するのです。
特にこれといったプライベートなお守りを持っていない場合は、自分の「星座」によってラッキーカラーを決めたり、ラッキーな宝石を身につける方法もあります。
特に「宝石は悪いものをはね返し、幸運を引き寄せる」といわれているので、機会があったら、自分と相性のいい宝石を手に入れるといいでしょう。
星座別ラッキーカラーとラッキー宝石
牡羊座(3/21~4/19)赤 ルビー
牡牛座(4/20~5/20)ピンク サファイア
双子座(5/21~6/21)黄 エメラルド
蟹座(6/22~7/22)白 パール
獅子座(7/23~8/22)オレンジ ダイアモンド
乙女座(8/23~9/22)グレー キャッツアイ
天秤座(9/23~10/23)ピンク さんご
蠍座(10/24~11/22)赤 オパール
射手座(11/23~12/21)紫 トパーズ
山羊座(12/22~1/19)黒 めのう
水瓶座(1/20~2/18)黄緑 アメシスト
魚座(2/19~3/20)青 アクアマリン
指輪などの貴金属を身につけるだけでなく、絵を飾って自分の運を守ったり、運を開く方法もあります。
たとえば世界各国の宗教画には、三角形や四角形、円などの幾何学図形が頻繁に登場します。
これらの図形は、「人々に共通の安心感を与える」といわれています。
たとえば三角形は攻撃的、男性的なパワーを見る人に与え、向きによっては上昇や下降のパワーをもたらします。
四角形は安定や定着、守りなどのパワーを持ち、円は温和、母性、愛のパワーを持っています。
「愛情運を上げたい!」というときは円をシンボルにした絵を部屋に飾ったり、「仕事で成功したい!」というときは三角形がモチーフになっている絵を持ち歩くといいでしょう。
自分に必要なパワーを持つ絵を見たり、持ち歩いたり、あるいは自分でかくことによって、その形のとおりに気持ちを変化させることができるのです。